忖度とはどんな意味?語源や例文は?言い換えると?

虫眼鏡で見ながら辞書を調べている男性の手元の様子
少し前に政治絡みのニュースなどでよく耳にした「忖度(そんたく)」という言葉。

流行語大賞2017を受賞したことからもわかるように、今最も話題性のある言葉です。

その勢いは「忖度まんじゅう」や「忖度御膳」などという商品が生まれるほど!

この記事では、忖度の意味と語源、例文や言い換えた言葉を紹介します。

忖度の使い方や意味について理解を深めてみてください。


忖度とはどんな意味?

「忖度」は「そんたく」と読み、以下のような意味があります。

  • 他人の気持ちを推し量ること。「忖」も「度」も、はかる意。(出典:三省堂辞書)
  • 他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること。(出典:デジタル大辞泉)

もともとは「推量する」という意味で使われていたようですが、今話題になっている「忖度」は「おしはかって相手に配慮すること」の意味で使われていますね。

なぜこのような意味が派生したのでしょうか?

忖度の語源とは?

古代中国の古い本
「忖度」の出典は中国最古の詩集とされる『詩経』です。

他人有心、予忖度之。
「他人心あり、予(われ)これを忖度(そんたく)す」

口語訳:他の人は別な心を持っているが、自分はこれを推し量って知ることが出来る。

ここだけ見れば相手の心を「推量する」という使い方です。

しかしこの後には続きがあるのです。

躍躍毚兔、遇犬獲之。
「躍躍(てきてき)たる毚兔(ざんと)、犬に遇(あ)いて之を獲えらる」

口語訳:行動的でずるくすばしっこい兎は、犬に捕まえられてしまうだろう。

ここでポイントになってくるのが毚兔(ざんと)=ずるくすばしっこい兎です。

漢詩には対句という修辞法があり、表現形式が似ている二つの句を相対して並べ、対照・強調の効果を与えます。

他人有心と躍躍毚兔・予忖度之と遇犬獲之が対句になっていると考えると、他の人が持っている別な心とは、兎のようなずるい心ととらえられます。

そして、ずるい心を推察できる自分は犬が兎を捕まえるように、ずるい心を懲らしめるという意味で読めます。

つまり、「忖度」という言葉が初めて登場したであろう文献で「ずるい心を推し量って、(懲らしめるという)行動をする」という使い方をされていたのです。

軸となる意味は「推量する」で間違いないですが、この言葉が使われた文脈のインパクトはかなり大きかったのではないでしょうか。

何千年も前に生まれて、今も生き続ける言葉。

時代とともに意味や用法も変化していくこともあります。

しかし「忖度」は、初出の文脈のニュアンス込みで使われてきたのかもしれないと個人的に思いました。

忖度の例文

本棚の前のテーブルに本が開いて置いてある様子
用例.jpで「忖度」を調べてみたら、63の例文がありました。

近代小説や現代の歴史小説に多く使われている印象です。

弱い神經衰弱症の人間が無暗に他の心を忖度して好い加減な事を申して濟みません。

(夏目漱石『『伝説の時代』序』より引用)

私はまだ子供の気持ちがなくなっていないと見えて、いっしょに遊んで楽しく暮らしたくばかり思っているのに、皆が私の気持ちを忖度して面倒な関係にしてしまわないかと心配よ。

(与謝野晶子『源氏物語』より引用)

もちろん、現代小説にも使われています。

またあらかじめ自分の仕事量を忖度して「そんなのとっても無理だよなぁ」と自分に限界を認めてしまったら、やはり成りはしなかったことであろう。

(林望『テーブルの雲』より引用)

忖度の意味をわかりやすく理解するために、どんな言葉に言い換えられるかをみてみましょう。

  • 忖度の類義語
・気づかいをする
・気をまわす
・思いを汲み取る
・気を利かす
・気持ちを推し量る

まとめ

日常会話では使う機会があまりなかった「忖度」という言葉がにわかに脚光を浴びて、多くの人が口にするようになりました。

数え歌や落語の「寿限無」などからもわかるように、日本人は昔から言葉遊びが好きなんですよね。

流行り廃りがありながらも、言葉の面白さに敏感なのは昔から変わらないのかもしれません。

error: Content is protected !!