若者を中心に、日本語でもカタカナで「リスペクト」という言葉がよく使われるようになりました。
日常に氾濫している言葉なので特に意識せずに使っている場合もありますが、ビジネスシーンでは使用に注意が必要です。
そこで、もともとの意味を確認し、具体的な使い方や類語などについて見ていきましょう。
「リスペクト」の意味とその対象
英語の「respect」をカタカナにした言葉で、本来の意味は、ある人やある人の性格などを「尊敬する」「尊重する」「敬意を示す」などです。
日本語で用いられる時も同じような意味で用いられます。
ただ、尊敬や尊重ほど大げさな意味でなく、単に相手を褒める意味で「先輩、リスペクトしてます」や「○○さん、リスペクトです」などと使われることもあり、日本語で「尊敬しております」というほど硬い表現ではないことが多いです。
また、人に対してだけでなく、物に対しても使われることがあります。
作家やミュージシャンなどが、他の人の作品をリスペクトして作った作品などと言うことがありますが、当人に対する敬意というより、自分が影響を受けた作品を高く評価しているというような意味合いになるでしょう。
「リスペクト」の使い方
日本語で「尊敬」や「尊重」などと言いたい場合に、「リスペクト」をそのまま代替語として使用することが可能です。
「うちの会社でいちばんリスペクトしているのが○○課長です」や「取引先の立場もリスペクトする必要がある」などとビジネスでも使えそうなシーンはあります。
会議などにおいて、「多数意見だけでなく、少数派の考えもリスペクトして結論を出そう」などとする使い方もありです。
このように使い方はいろいろですが、ビジネスシーンでこうしたカタカナ語をあまり多用するのは好ましくありません。
「尊敬」や「尊重」とするところをわざわざカタカナで言うのは、どうしても砕けた印象になってしまいます。
ビジネスシーンでは、目上の人や社外の人に対して使うことは避け、せいぜい親しい同僚間でのみの使用に留めた方が無難でしょう。
目上の人にリスペクトしていることを伝えたいのであれば、「○○さんを尊敬しています」や、感銘を受けたことなら「○○さんのプロ意識に尊敬の念を抱きました」などのように「尊敬」という言葉を使うべきです。
よく似た意味の外来語
フランス語の「hommage」に由来する「オマージュ」も同じような意味で使われることがあります。
「称賛」や「敬意」という意味があるので、「リスペクト」とほぼ同義です。ただし、「オマージュ」の使い方はもっぱら名詞としてのみで、「○○さんをオマージュしています」のようには言いません。
だいたいは芸術分野で用いられ、「今作はタルコフスキー監督へのオマージュです」のような使い方がほとんどでしょう。
ですので、ビジネスシーンではほぼ使われませんし、あえて使う必要もありません。
「リスペクト」の対義語
日本語で「尊敬」の対義語というと「軽蔑」や「侮辱」などがありますが、わざわざ「リスペクト」と言う時は、その対義語は「ディスリスペクト(disrespect)」ということになります。
同じく英語で「disregard」や「disdain」と言っても「respect」の反対の意味です。
これらの接頭辞「dis」から、日本語でも俗語として「ディスる」という言葉が普及していますが、ビジネスシーンで使われることはないでしょう。
まとめ
日常的によく見聞きするカタカナ語は、ビジネスシーンで使用するのは注意が必要です。
心からの敬意を込めて言っていたとしても、言われた相手によっては失礼と捉えることもあります。
「リスペクト」と言いたい時も、なるべく「尊敬」や「尊重」という言葉を使いましょう。