ビジネスに書類の提出は付き物ですが、そこでよく使われる言葉に「所感」があります。
所感を求められることはとても多いですが、この言葉の意味を正しく理解できているでしょうか。
「感想」や「所見」など似た言葉の意味と併せて詳しく見ていきましょう。
「所感」の意味と「感想」との違い
所感の意味は、何かに触れて心に感じたことや心が動かされたことです。
たとえば、あるスピーチの所感を聞かせてほしいと言われた時は、そのスピーチによって心が動かされた点を教えてくれという意味になります。
使い方を挙げると、「このレポートを読んだあなたの所感を教えてください」などと用います。
ビジネスで何か発表や報告書などに対して所感を求められた時なら、それについて心に感じたことや影響を受けたと感じる部分など個人的に感じることを述べてほしいという意味です。
「感想」と意味はほとんど同じですが、「所感」と言う時にはより具体性が求められています。
具体的にどんな部分に心が動かされたかが焦点であり、単に「興味深い内容でした」や「勉強になりました」という感想では不十分だということです。
ですので、ビジネスでは、感想文ではなく所感文が求められます。
「所見」との違い
「所見」も「所感」に似た言葉ですが、「所見」という時には、ある事柄に対しての意見や判断ということを意味します。
「所感」が文字通り感情に基づいているのに対して、「所見」と言う時には冷静な判断というニュアンスがあると考えるとわかりやすいです。
たとえば、学校の通知表には教師からの所見を示す項目があります。
お医者さんなら、患者の病状に対して所見を示すといった具合です。
このように、所見には専門家の専門的な見立てによる意見というニュアンスがあります。
「所見」は専門家による判断として用いられますが、100%確かなことではありません。
その点では「見解」という言葉とも近いのですが、「見解」はより個人的な意見であり、「所見」よりも確実性は低いと考えてよいでしょう。
たとえばお医者さんの場合なら、患者を診察して「セキが見られる」という所見を述べ、「このままでは肺炎になる恐れがある」との見解を示すという具合です。
「意見」や「報告」との違い
「所見」にも「意見」という意味が含まれますが、ビジネスで意見ではなく所感を求められた時は、どういう点について何を心に感じたかということを求められています。
意見の場合、心に感じることとは関係なく、知識や経験などをもとにした考えや主張というニュアンスが強いです。
また、「報告」とも所感は違います。
「報告」とはある事柄の経過や結果を述べることであり、それについてどう感じたかということは問題ではありません。
報告を求められた時には、自分の感じたことなどを交えず、事実を告げ知らせることが大切です。
ビジネスで所感が求められる理由
ビジネスシーンでは、感想や意見ではなく所感が求められることが多いです。
専門家としての意見なら所見になりますが、上司が部下に対してという例では所感が求められることが多いでしょう。
たとえば、業務において報告書の提出を求められることはよくありますが、そこにはたいてい所感を記入する項目があります。
その理由は、単に起こったことの記録を求めているのではなく、その社員個人の感じる反省点や改善点を述べさせることで、その社員の理解度や問題意識を把握するためです。
まとめ
「所感」「所見」「感想」「意見」など一見同じような言葉は多いですが、ビジネスで所感という時は、ある事柄について具体的にどのように感じたかが焦点になります。
所感を求められた時に単なる感想や報告にならないよう、その言葉の意味するところを理解しておきましょう。