今では丁寧な手紙を書くような機会が滅多にないので、「拝啓(はいけい)という言葉は目にしたことはあっても、自分が使うとなると全く使い方がわからない」という人も多いのではないでしょうか?
そのような人が、手紙を書く時に参考にして頂けるような内容を書いています。
拝啓に込められた意味
手紙の始めに書く挨拶言葉で、相手に敬意を表す意味で使います。
「あなたを敬って申し上げますね」という意味で、動作で表すのであれば「お辞儀」になるでしょう。
そして必ずセットで使う、手紙の一番最後に持ってくる結びの言葉は「敬具」になります。
「敬具」は「あなたを敬って話を結びますね」という意味になるので、始まりと終わりでお辞儀をしている感覚です。
日本人ならではの律儀さの表れと言えるでしょう。
本来であれば敬意を持つ相手に対して、手紙を書く時に使うことが一般的とされていますが、現在では自分と対等な立場の相手にも使うことが増えてきました。
こうして使う機会が増えてきた中で、本当に理解して正しく使えているか?どんなことに気をつけたらいいか?を解説していきます。
拝啓はどんな時に使う?メールは?
ビジネスシーンだと、取引先の相手やお客様に向けたものなど、丁寧な文面で使われているのをよく見かけます。
日常生活の中でも、敬う気持ちを丁寧に伝えたい相手に使います。
ポイントは内容の丁寧さにあるでしょう。
丁寧な言葉遣いや、かしこまった内容であればあるほど、「拝啓」を使うにふさわしい文章と言えます。
そして「拝啓」で書き始めた時は、「時下ますます」や「〇〇の候」などと時候の挨拶を続けましょう。
さて、この辺りで「手紙や文面って言うけど、メールでも使えるの?」という疑問が浮かびませんか?ビジネスメールでもたまに拝啓と敬具を見かけることがあります。
普段のメールで使うのは、実はあまりふさわしくないようです。
ただし、挨拶やお礼などの丁寧さを重視したいメールには使ってもOK。
それ以外のメールであれば「拝啓」は「いつもお世話になっております」に、「敬具」は「何卒よろしくお願い致します」に置き換えるのがベストでしょう。
拝啓を使った例文は?類語は?
それでは、拝啓を使った具体的な例文をいくつか示したいと思います。
- 拝啓 時下ますますご清祥のことと存じます。日頃より皆様のお力添えを感謝しております。
- 拝啓 冬の名残りまだ去りやらぬ時候 ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素から深いご理解と格別のご協力を賜り厚く御礼申し上げます。
- 拝啓 梅雨も明け暑い日が続いておりますが、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。いつも温かいご声援をいただき、心より感謝申し上げます。
- 拝啓 時下いよいよご繁栄お慶び申し上げます。平素より弊社製品をひとかたならぬご愛顧いただきありがとうございます。
同じように使うことができるのは「謹啓(きんけい)」となるでしょう。
この場合の結びは「敬白(けいはく)」になります。
拝啓と敬具よりもより丁寧な印象を与えます。
似た意味を持っているとはいえ、受ける印象が変わってくるので、「拝啓」は普段使いからOKで、「謹啓」はよりフォーマルな時に使うと覚えると良いでしょう。
拝啓を使う時に気を付けたいこと
ここまでの流れで、手紙や文面の上で使う言葉だと解説してきましたが、「拝啓」と「敬具」は会話の中で使うことができません。
例えば、ビジネスシーンで相手との話し始めに「拝啓 〇〇様」などとは言いません。
あくまで文面の上でのみ、使うことが出来るのです。
また、自分と対等な立場の相手に使う際に気を付けたいのが、手紙の内容です。
拝啓で始まり敬具で締めても、丁寧さに欠ける内容になってしまってはせっかくの挨拶言葉が台無しです。
フランクな間柄であれば、無理して挨拶言葉を使わないほうがいいと言えるでしょう。
まとめ
普段からとてもよく目にする「拝啓」には、意外にも決まりや注意すべきことが多かったのではないでしょうか。
でも、普段から使うことができるということも分かりました。
正しく使うことで、相手とのより良い関係性を築いていきましょう。
同じように、手紙を書く際によく用いられる「前略(ぜんりゃく)」の使い方についても書いてますのでよろしかったらどうぞ。