「逝去」と「急逝」の意味
職場にファックスなどで訃報連絡が入ってくることはどんな職場にもあることです。
お通夜や葬儀の期日や会場、喪主のお名前等が職場で報告されたりすることがありますね。
この時に使われる用語として、「逝去」と「急逝」ということばがあります。
この二つのことばはどう違うのでしょうか、あるいはどのように使い分けされているのでしょうか。
まずは「逝去(せいきょ)」について、これは人を敬い、その死を悼むという意味で使われます。
尊敬語ですが、基本的に年上や立場が上の人、尊敬すべき人が亡くなったことを伝える時に使われることばです。
次に「急逝(きゅうせい)」ですが、これは使われている感じで分かるのですが、「急に死去すること」あるいは「急死」という意味です。
元気だった方が突然亡くなったとか、長らく入院していた病人の容態が急変して死に至ったといった場合に「急逝」を使います。
「逝去」「急逝」の使い方で留意すること
「逝去」は上で述べたように尊敬語ですので、家族をはじめ身内の者の死去の際に使ってはいけません。
またたまに訃報の連絡の際に、ファックスやメールに「ご逝去されました」という表記を見かけることがあります。
「逝去」ということば自体が尊敬語となっていますので、接頭語の「ご(御)」を付けると二重敬語となるのですが、御悔やみ事では「ご逝去」といういい方が慣例的に使われています。
次に「急逝」ですが、上で説明したように「急な死去」の際に使うことばです。
病気で長患いし余命幾ばくもなかったような方の死去の際には使いません。
あくまでも何の予兆もなく、突然お亡くなりになったというケースに使います。
例えば、交通事故死といった予期せぬ不運に見舞われたようなケースがこれにあたるでしょう。
「逝去」「急逝」の文例
●この度はご尊父様のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。
●ご母堂様のご逝去の報に接し、驚きを禁じえません。
●ご尊父様のご逝去の悲報に接し、心より哀悼の意を表します。
●父は急性心不全のため昨夜、急逝いたしました。
●ご尊父様のご急逝の報に接し、謹んで哀悼の意を表します。
●応援していた選手の急逝に驚いた。
●急逝した友人を悼む。
「逝去」「急逝」の類語や言い換えは?
「逝去」について、類語としては「死去」「逝く」「他界」「物故」「夭逝」など多数あります。
同じく「急逝」についても「急死」「不慮の死」「客死」「頓死」など多数あります。
ここで問題なのは、それぞれの語句には共通の意味がありますが、その意味するもの、使い方にとてもデリケートなニュアンスの違いがあったりすることです。
そのことを十分に踏まえて、ことばは慎重に扱うことが必要です。
まとめ
さて、御悔やみ事については、ことばの使い方には十分な注意と配慮が必要です。
「逝去」「急逝」の違いはもちろんですが、これら二つのことばにも多数の同義語、類義語があります。
しかし、それぞれに微妙なニュアンスの違い、時と場合によって使い分けしなくてはならないケースもあります。
まずは、その用法を正しく知っておくことが大切でしょう。
また、いろいろなことばを使いこなすよりも、特定のことばを使った無難な言い回しを、弔事では用いることがいいのではないでしょうか。
ことばの間違った使い方が遺族の心情を害したり、悲しみを増幅させたりすることに繋がります。
人の死に接することはとてもデリケートなことであるという自覚をもちましょう。
テレビ番組などで、人の死去に関わってきわめて不適切なことばが、不用意に使われている場面に遭遇する時があります。
ことばの意味を知らないことでこうしたことが起きてしまうのです。
慎重な言い回しと亡くなった方への慈愛の念、さらに残された遺族の心情を慮っていくことが大切です。