ビジネスシーンでは「見解」という言葉をよく耳にします。
日常会話なら「感想」や「意見」と言うところですが、わざわざ「見解」という言葉を使っているのはそれなりの理由があるからです。
そこで、その意味とシーン別の使い方や、「意見」「所見」「所感」といった類語についても見ていきます。
「見解」の本来の意味とビジネスでの使い方
「見解」とは「けんかい」と読み、物事についての考え方や見方を表します。
一般的にはこれ以外の意味で用いられることはないですが、実は仏教用語に「見解(けんげ)」という言葉があり、物の見方だけでなく、真理を見極めることのできる力を表す言葉でもあるのです。
ビジネスシーンで「けんげ」という言い方はしませんが、単に「考えを述べる」や「意見を述べる」とするより「見解を述べる」とした方が説得力を感じさせるのは、この言葉に事物の奥深くまで見極めるという意味があるからでしょう。
つまり、ビジネスで何かについての見解を求められた時には、単なるその場の思い付きの考えではなく、突き詰めて考えたうえでしっかりした根拠のある意見を求められているということです。
シーン別の使い方
「見解」はいろんな言葉とセットで使われますが、「見解を明らかにする」や「見解の相違」という言い方は頻繁に用いられます。
前者は、ある物事について論拠のある考えを示すという意味です。
たとえば、専門家がある事象について研究した結果、ある考えに行き着いた時などに、「専門家が昨今の経済状況の悪化に対する見解を明らかにした」のように使います。
後者は、単に意見が違っているというよりも、考え方が根本から違っていることを表す時に用いられる言い方です。
「議論は平行線のまま互いに一歩も譲らず、この問題についての見解の相違を解消することはできなかった」などと使います。
類語表現と意味の違い
「見解」の類語として最初に挙げられるのが「意見」です。
ただ、先ほどから見てきたように、「見解」の方が意見よりも根拠がしっかりしているため、ビジネスシーンでは単に「意見」とするよりも強い意味を出したい時に使えます。
単なる個人的な考えの時には「意見」を用いるのがよいでしょう。
公的な場で「意見」より「見解」が用いられることが多いのも、根拠の確かさが求められるからです。
「意見」のほか「所見」という言葉も類語になります。
「所見」の辞書的な意味は「見た結果の意見や判断」ですが、単に「意見」というよりも論理的な判断の結果と言いたい時に有効です。
事実と断定できるほどではないものの、専門家が根拠をもとに出した結論というようなある種の確かさが感じられます。
もう一つ類語を挙げるなら、「所見」とよく似た「所感」という言葉もそうでしょう。
「所感」には「感」という字が含まれることからもわかるように、「所見」ほどの論理性ではなく感覚的な意見という意味合いがあります。
「何か物事に触れて心に感じたこと」というのが「所感」の辞書的な意味ですから、「所見」より個人的な意見に近いです。
ただし、単なる感想ではなく、それに自分個人の意見を加えたものと考えてください。
「所見」と「所感」もビジネスではよく用いられる言葉ですから、意味の違いをしっかり理解しておきましょう。
まとめ
ビジネスにおいて説得力を持たせたい時に「見解」は便利な言葉です。
意見より確かな根拠があることが前提ですので、この言葉を使う時にはそれだけの論拠を示せるようにしておきましょう。
また、あまりこの言葉ばかり多用しても堅苦しい印象を与えるので、「意見」「所見」「所感」などさまざまな言葉を状況に応じて使い分けられるようにしておくことをおすすめします。