昨今、「メンヘラ」という言葉を耳にすることが増えてきましたが、その意味をご存じでしょうか。
インターネットが生活の一部である若い人ならご存じの方も多いはずですが、言葉の響きだけで「メルヘンか何かかな?」と思っているとしたら危険です。
ビジネスシーンでは用いられることのない言葉ですが、うっかり口にすることのないように、その意味や由来を確認しておきましょう。
「メンヘラ」の意味
「メンヘラ」は「メンタルヘルス」の略語ですが、特にメンタルヘルスに問題のある人を指して使われます。
要は精神疾患を抱える人に対する呼び名です。特定の病気を指しているのではなく、何となくのニュアンスで使われています。
なかには「境界性パーソナリティー障害」の人に対する言葉として区別している人もいますが、実際はそれほど区別されることなく、曖昧な意味で使われることが多いようです。
「メンヘラ」の由来
「メンヘラ」とはインターネットから誕生した言葉です。
この言葉が使われるようになる前から、匿名掲示板などにおいて精神疾患を持つ人に対する差別的な言葉は溢れていました。
しかし、差別用語は人を誹謗中傷するための言葉でしかありません。
そうではなく、精神疾患を抱えた者同士がネット上で意見を交換する場において、お互いを指す言葉として何らかの呼び名が必要とされ、その結果、使われるようになった俗語が「メンヘル」であり、それが変化したのが「メンヘラ」です。
巨大掲示板「2ちゃんねる」のメンタルヘルス板に集う人たちが、お互いに意見交換をするなかで、板名の略語を自身の呼び名にしたことからこの言葉が生まれました。
この時点では差別的な意味はなく、単に自分たちを指す便利な言葉として使われていただけでした。
しかし、「メンヘラ」へと変化したころからさまざまな意味合いを持つようになってきました。
意味が変わってきた「メンヘラ」
上記のように、「メンヘラ」のそもそもの意味は、単にメンタルヘルスの病気を持つ人たち同士が、お互いのつながり意識を求めた結果の呼び名です。
正式な病名でも医学的な専門用語でもありません。
その後、2ちゃんねるだけでなくネット上のさまざまな掲示板でこの言葉が使用されるようになり、今ではTwitterなどSNS等でも頻繁に目にするようになりました。
メンヘラの当事者同士のオフ会なども開催されるなど、意見交換は活発です。
それだけなら問題ないのですが、徐々にこの言葉が独り歩きするうちに、さまざまな意味を帯びるようになりました。
今では、心療内科や精神科に通院したことがある人、ちょっと言動が風変わりな人などについて、「メンヘラ」と呼ぶ人もいます。
それは決してポジティブな意味ではなく、メンタルに問題を抱える人に対する中傷や揶揄のための蔑称です。
あからさまな差別意識で用いられることもあります。
従来通り当事者がお互いの呼び名として使用している例はまだありますし、なかには人と比べて変わっていることをアピールするために自ら「メンヘラ」を名乗る人もいるぐらいで、決して差別用語というわけではありませんが、ネットスラングの域を出ない言葉であり、使用には注意が必要です。
まとめ
「メンヘラ」という言葉は、特に若い人の間でカジュアルに用いられる言葉ですが、日本語として定着したとまでは言えません。
一概に差別意識があるとは言えないものの、心の病を抱える人を中傷する目的で使用する人もいます。
それに、所詮は2ちゃんねる発祥のネットスラングですから、日常生活で用いるのは好ましいとは言えません。
どういう意識で口にするのであれ、職場で精神疾患を抱える人を話題にすることは考えにくいですし、少なくともビジネスシーンにおいて口にすべき言葉とは言えないでしょう。