ガバナンスとは?
ガバナンスは「統治」のことである。
統治というと国家の権力を意味するような気がしますが、それとは対極にある言葉で、法的拘束力のある統治の制度のことではなくて、組織や社会の構成員が主体となって、意思決定や合意形成を図っていくシステムを指しています。
例えば、企業経営の分野では「企業の経営を監視することやそのシステムのこと」をコーポレートガバナンスといいます。
また企業の情報管理を指してITガバナンスという言葉もあります。
いずれの場合も管理すること、監視すること、という内容です。
ガバナンスの使い方
ガバナンスという言葉は企業社会では日常的に使われている言葉です。
民間企業で働いている人にとっては聞きなれた言葉ではないでしょうか。
しかしその意味を正しく理解することが肝要です。
というのも同じような趣旨の言葉がビジネス用語、特にカタカナ用語にはたくさんあるのです。
その代表格はあのドラッカー博士の「マネジメント」やニュースでよく耳にする「コンプライアンス」、さらには近年よく使われるようになった「組織マネジメント」などですね。
マネジメントも日本語に訳すと「経営」「管理」といった意味になりガバナンスと似ています。
でもこの両者の関係をとらえてみると「的確なマネジメントを行う一つの方法としてガバナンスがある」といった関係ではないでしょうか。
またコンプライアンスを日本語に訳すると「法令順守」ということになります。ガバナンスと似ている面がありますが両者の関係をとらえてみると「ガバナンスの目的の一つがコンプライアンス」ということになると思われます。
ガバナンスの文例
ではビジネスの世界を中心に、このガバナンスという言葉はどのような文脈で用いられ、どんな具体的な使われ方があるのでしょうか。
いくつかの具体例を挙げてみましょう。
ガバナンスの類語や言い換えは?
冒頭に示したように、ガバナンスの意味は日本語に直すと「統治」「監視」「管理」となります。
少し語調が強くなりネガティブな印象となる可能性があります。
コーポレートガバナンスは「企業統治」と訳すことが多いようですが企業内の内部統治ということで、管理体制ということばがガバナンスに最も近いのではないかと思われます。
最近のわが国の大手自動車会社で起こりましたCEOによる一連の不祥事も、ガバナンスが機能していなかった例であると思われます。
言い換えれば「管理・監視体制」の不十分さが背景にあるようです。
先にも述べましたが、ガバナンスはマネジメントに置き換えるには少々ことばのレベルが違いますし、コンプライアンスということばに置き換えるのは、目的と方法を取り違えることになっていると思われます。
まとめ
昨今ビジネスの世界では、英語から派生したカタカナのビジネス用語を多用する傾向があります。
ガバナンスやマネジメント、コンプライアンスも同じような背景から使われるようになったことばです。
これらのカタカナ用語を使用するときには特段の注意が必要であると思われます。
それぞれのカタカナ用語について、その意味を正しく理解しているか、あるいはその趣旨についてみんなと認識を共有しているか、これは大切なことです。
違った認識で使っているとしたら業務遂行に支障が出てくるはずです。
敢えてカタカナでいう必要もない事柄もありますがカタカナを使う方がしっくりいくものもあります。
大切なことはそれらの用語の意味や使い方が自分のものになっているか、このことを自問することです。