ビジネスシーンで「架電」という言葉を目にしたり耳にすることがあります。
求人情報の仕事内容の説明としてこの言葉が書かれているのを目にしたことのある人もいるでしょう。
ただ、一般にはあまり使われない言葉のため、初めて聞いてすぐに意味がわかったという人は少ないのではないでしょうか。
そこで、ビジネスにおける「架電」という言葉の意味と使い方などについて説明します。
「架電」の意味と由来は?
「架電」とは、電話をかけることを意味する言葉です。
電話をかけることを「架電」と言うことは日常生活でまずないことなので、「かでん」という音だけ聞くと「家電」を連想する人がいるかもしれませんね。
また、漢字で「架電」と書いても電話をかけるという意味は想像しにくいでしょう。
電話線の工事に「架線」という言葉がありますが、そこから「架電」についても「電話を引く」などの意味を連想してしまいそうになります。
実は、この「架電」という言葉は業界用語のような特殊な言葉なのです。
辞書にも載っていないことがあるため、知らなくても非常識にはなりません。
なぜ「架電」で電話をかけるという意味になるかというと、「架」の字には「かけ渡す」という意味があることから、それに電話の「電」を付けて、「電話線を架ける(かける)」というイメージにつながったからだと言われています。
はっきりした由来はわかりませんが、昭和40年代の裁判文書に記録が残っていることから、そのころから一部、裁判所や警察関係者の間で使われ始めたと推測されています。
「架電」のビジネスでの使い方や注意点は?
「架電」は特殊な用語ですが、今でもビジネスシーンでは用いられることがあります。
とはいえ、「先方に架電しておきますね」などと言うことはほとんどなく、「先日の架電の件について」のような使い方で文章にて用いられることが多いでしょう。
「電話をかける」を「架電する」と言い換えたところで丁寧な言い方になるわけではありませんので、無理に用いる必要はありません。
ただ、メールなどで「架電」という言葉を目にした時に意味がわかるようにしておくことは大切です。
目上の人などに対して「電話をかける」ということを丁寧に言いたい時は、「お電話差し上げる」などわかりやすい敬語表現を使いましょう。
「架電」の対義語は?
「架電」は「電話をかける」という意味と書きましたが、たまに、相手からかかってきた電話についても「架電」という人がいます。
「先日の○○からの架電の件だが…」などと表現するのは正しいとは言えませんが、そういう表現をする人がいるということは頭の片隅に留めておいた方がよさそうです。
相手から電話がかかってきたことを表す熟語には、「受信」「受電」「入電」「来電」などがあります。
ただ、これらも話し言葉で用いるのは意味がわかりにくいです。
お互い意味を了解している者同士の仲間内の会話で用いる分にはかまいませんが、社外の人などに対して「先日の入電の件ですが」などと言うべきではありません。
理解はされるかもしれませんが、丁寧な言い方でもありませんので、「先日お電話で伺った件ですが」などわかりやすい表現を用いるべきです。
まとめ
「架電」という熟語を使えば、単に「電話をかける」と言うより、いかにもビジネスという雰囲気が出ると感じる人もいるでしょう。
しかし、それを聞いた相手が瞬時に理解できないのであれば何の意味もありません。
丁寧語でもないので目上の人に用いるべき言葉でもありません。
ビジネスでは相手に正確に意図を伝えることが最優先ですから、無理に「架電」などという言葉を使うのではなく、丁寧にしたいなら「お電話」という言い方で十分です。
ただ、この言葉を言われた時や目にした時には、ちゃんと意味が理解できるようにしておいた方がよいでしょう。