「御身お大事に」や「御身大切に」という言葉は相手の体をいたわる表現ですが、日常会話ではほとんど使いません。
そのため、手紙やメールなどで使用する時に、正しい使い方ができているか不安なこともあるはずです。
そこで、「御身お大事に」や「御身大切に」という言葉の意味や使い方、別の表現などについて整理しておきましょう。
「御身お大事に」「御身大切に」の意味と用例
「御身お大事に」と「御身大切に」の後半の部分、「お大事に」と「大切に」の意味は誰もが知っています。
しかし、前半の「御身」となると読み方もよくわからないという人が多いのではないでしょうか。
「御身」とは「おんみ」と読みます。「身」に敬称の「御」を付けていることからもわかるように、「お体」という意味です。
相手の体調や健康を気遣う時に用います。
また、古い時代では「御身」は二人称として呼びかけにも用いられていました。
この用法は現在の日常の口語ではほぼ見られず、文章語としてわずかに残っているだけです。
「お体」という時の「御身」も現在口語で使われることはほとんどなく、もっぱら文章語として用いられると考えてよいでしょう。
ですので、「御身お大事に」や「御身大切に」と用いるのは、おもにかしこまった手紙や挨拶状などにおいてです。
用例を挙げると、「ご多忙とは存じますが、御身お大事になさってください」や「時節柄、御身お大切に」などがあります。
「御身お大事に」「御身大切に」の使い方
先ほども述べたように、「御身お大事に」や「御身大切に」と頭に「御身」を付ける表現は、手紙やメールなどの結びの言葉として用います。
「お大事に」や「大切に」は日常会話でも頻繁に使いますが、「御身」と付けるのは書簡等においての定型句と考えてよいでしょう。
「お体」、すなわち相手の健康状態を気遣って用いる言葉で、「自分を大切にしてください」のように相手を諭すような意味合いにはなりません。
その点は誤解が生じる心配はないでしょう。ただし、ビジネスレターでは、いつでも結びの句として使用できるわけではありません。
入院中の取引先の相手にお見舞いの手紙を書く場合など、相手の健康や体調を気遣う必要がある場合にだけ用いましょう。
親しい人物に私的な意味合いの強い手紙やメールを書くときには、「ご多忙とは存じますが」や「時節柄」などの言葉とともに用いると、相手が特に体調を崩していない場合にも結びの挨拶として通用します。
「御身お大事に」「御身大切に」の言い換え表現
「御身お大事に」や「御身大切に」のように、書簡で用いる同じ意味の表現をいくつか挙げてみます。
相手の体調を気遣うのなら、「お体おいたわりください」で十分真意が通じます。
「お大事にしてください」よりも相手に対する敬意や配慮が伝わりやすいです。
これより少し固い表現になりますが、「ご養生なさってください」という言い方もします。
「養生」の読み方は「ようじょう」です。病気やケガからの回復に努める意味があります。
簡単に言えば「休んでください」ということですが、単に休憩というより治療のために体を休める意味合いで、相手の病気からの回復を願う時などに使用するとぴったりです。
もう一つ、「お体お厭いください」という表現もあります。「厭う(いとう)」とは「嫌う」や「いやなことを避ける」という意味の言葉ですが、「お体お厭いください」と書くと「体から嫌なことを遠ざけてください」というニュアンスになります。
ただ、現在では一般的にあまり用いられない言葉なので、無理して使うよりは上記の別の表現を使うとよいでしょう。
まとめ
「御身お大事に」や「御身大切に」は、口語ではほぼ使用しない言葉です。
しかし、ビジネスレターにおいてはこちらの配慮を示すのに適している場合があります。
言い換え表現も含めて、ある程度は知識として備えておくようにしましょう。