少し時代がかった言い方のような雰囲気がありますが、ビジネスの世界で、自分自身のことを指していう時に小生や小職という言葉を耳にしたことがあると思います。
相手によっては、「難しい言葉を知っている人だな(または、使える人だな)」評価してくれる場合もあるかもしれませんが、間違った場面で使うと自分の評価を下げてしまう結果になりかねません。
ここでは、この小生と小職の意味と使い方について解説していきます。自分が使わなくても、使う人と遭遇することもあり得ますので、知っておいて損はないでしょう。
小生 小職の意味は?
まず、小生(しょうせい)ですが、これは「男性が自分をへりくだっていう謙譲語」で、手紙などの文章で使われます。
端的にいえば、小生は男性が使う一人称の言葉(謙称)です。
このへりくだったいい方には「相手に対して敬意を払い自分を一つ下に置くという、自分を控えめに表現したことばなのです。
同じように小職(しょうしょく)も自分の事を謙遜していうときに使われる言葉(謙称)です。
もともと官職(国家公務員など)が使う言葉でしたが、今では一般企業に勤務している人でも使います。
小職という表記から想像できるように、管理職など一定の地位や立場にある人が、その身分を謙遜していう場合の言葉です。
小生 小職の使い方
小生については前述したように、男性が使う一人称の言葉です。
従って、女性が小生を使うことはできません。
また、小生はへりくだった表現なのですが、自分よりも目上の人に使うのは大変失礼にあたります。
自分と同等か自分よりも下の立場にある人に使うのが適切といえるでしょう。
自分を低位においているようで使いやすい気がするのですが注意が必要です。
次に、小職についてですが、この言葉は女性が使っても問題ありません。
男女問わず使えることばですが、もともと官吏が使っていたことばということで、古めかしく堅苦しい印象は否めません。
よって民間企業に勤務する女性が使うのは少々抵抗がありますね。
ここで、小職は目上の人に使っても良いのでしょうか?
小職も自分のことをへりくだっていういい方ですから、目上の人に対して使うのは一見問題ないように思われます。
しかし、目上の人、自分よりも役職が上の人に対して使うのはやめておいた方が無難でしょう。
小職は組織の中で一定の地位にある人、言い換えれば管理職が、自分の役職を謙遜して使うことばです。
自分よりも役職が上に人に対して使うのは相手の心証を害する怖れがあります。
また、役職のない平社員の人が小職を使うのは間違っていますし、横柄な印象を与えかねません。
小生 小職を使った文例
小生と小職を使った文例をいくつかご紹介します。
小生を使った文例:
- 「小生、晴耕雨読に日々を過ごしております」
- 「未熟な小生ではございますが、今後ともご指導のほど宜しくお願いします」
- 「ご不明な点等があれば、小生までご連絡下さい」
小職を使った文例:
- 「小職、この度異動内示を受けました」
- 「提出物につきましては小職までお願い致します」
- 「小職は明朝9時半に参ります」
小生 小職の類語、言い換えについて
小生については下名という表現があります。
同様に自分をへりくだっていういい方で、ビジネスメールでも使われているようです。
逆に小生という言葉はへりくだった表現とはいえ、堅苦しさは拭えないために却って、相手に偉そうな印象を与えることもあります。
誰もがこの小生ということばの意味を知っているとは限りません。
やはり一番無難ないい方は私(わたくし)ではないでしょうか。
また、小職については弊職という言葉(謙称)があります。
こちらも自分の立場をへりくだっていうことばです。
しかし、これら一連の言葉は若い人たちは使い方を知らない人が多いので、無理に使うよりも自分で分かりやすい言葉、こちらも同様に私あたりが一番適当かも知れません。
相手に対して失礼な印象を与えないようにするためにもそれが無難でしょう。
まとめ
自分のことをどう表すか、その目的は相手との円滑なコミュニケーションを図ることです。
難解なことばを使うことは単に書き手の自己満足のためであり、本来の目的からずれています。
ことばというものはどのような場合においても「自分のもの」になっているかどうか判断して使うべきものであることを自覚して下さい。