ビジネスメールにおいて、「表題の件」という言葉はかなりの頻度で使われます。
便利な言葉なのでつい多用してしまいがちですが、使いどころをわきまえて使わないとかえってわかりにくくなってしまいます。
また、「表題」ではなく「標題」という言葉が用いられることもありますが、両者の違いにも注意が必要です。
そこで、「表題の件」の意味や使い方、「標題」との違いなどについて見ていきましょう。
「表題の件」の意味と使い方
「表題の件」という時の「表題」という言葉ですが、その意味は文字通り「表紙の題名」ということです。
本ならそのタイトルであり、メールなら件名ということになります。
つまり、「表題の件について」と言うと、「メールの件名の件について」ということです。
こう書くと「件」が連続して不自然ですが、要は「メールの本題について」ということです。
おもにビジネスメールで使われる表現ですが、多少堅苦しい印象を与えるものの日常のメールにも使えます。
メールの件名が「明日の予定」なら、「表題の件について」と言えば、読み手には「明日の予定についてのことだな」とすぐにわかるでしょう。
「明日の予定」という件名の場合は、題名が短いのでそのまま繰り返す方が良いかもしれませんが、たとえば「前回の会議における講師の招聘費用について」のような長い件名の場合は、それをいちいち繰り返すと煩雑な文面になってしまうので、「表題の件」に置き換えることで本文がすっきりします。
「標題」の意味と「表題」との違い
「表題」も「標題」も同じ「ひょうだい」という読み方の言葉ですが、意味もほぼ同じと考えてかまいません。
ただし、なかには「表題」と「標題」にあえて区別を付けて使い分ける人もいます。
その場合、「表題」がメールのメインテーマであり、「標題」がサブタイトルのような意味で使われることがほとんどです。
章立てが必要なほど長いメールは本来なら複数に分けるのが基本ではありますが、時々このような使い方をする人がいるため誤解のないように注意してください。
実際のメールでは、「表題」と「標題」の区別など意識せず、先に変換された方をなんとなく使っているだけということも多いです。
ただ、辞書で見てもこの二つは同じ意味の言葉として併記されていますので、どちらが使われていても問題ありません。
違うニュアンスで使われることがあることを、意識の片隅に留めておく程度でよいでしょう。
「表題の件」使い方での注意
「表題の件」という言葉は、メールのタイトルを繰り返さなくても相手にこれから書く内容が何についてなのか伝わるので、ビジネスメールにおいてとても便利な表現です。
ただし、この表現の多用には注意しましょう。
「表題」という言葉を使っていますが、要は「あの件について」や「この件について」など指示語を使うのと変わりません。
指示語が多い文章は、読み手はいちいちその指示するところを確認しなければならないため、読み手にとって優しい文章とは言えないでしょう。
メールの件名が短い場合は、そのまま件名の言葉を用いて「○○の件ですが」とすればよいのです。
件名が長くて何度も繰り返すと煩雑になる場合にのみ、使用するのがよいでしょう。
また、メールの内容が件名以外のことにも及ぶときには、「別件」という言葉を使って「別件ではございますが」と章を改めて書きます。
1通のメールに一つの用件が基本ですが、あえて付記しておきたいことがある場合は、読み手にわかりやすいように話題が変わる旨を伝える工夫が必要です。
まとめ
便利な表現ですが、「表題の件」との表現は無理してまで使う必要はありません。
ビジネスメールは簡潔を旨とするので、長い件名を何度も繰り返す必要がある時のみ使うとよいでしょう。
この他にも、ビジネスシーンでメールを使う場合におさえておきたい言葉を紹介します。